こわい物知らず、親知らず

私・夫・お嬢・坊や。4人家族の日々のこと。

ママの親知らず抜歯 第2章 抜歯十二日目〜十六日目

抜歯十二日目。

ガーゼが私の歯茎に住みついた。

 

ガーゼが、どういう状況なのか、

勇気を出して、大きく口を開けて観察した。

 


左の下の、大きな歯の後ろに、穴があり、

ひょっこりガーゼの端っこが出ている。

 


はっきりとしない発言をすることを、

「奥歯に物が挟まったような言い方」

というが、

はっきりと言おう。

私は、奥歯に物が挟まっている。

更に正しくはっきり言えば、

歯茎にガーゼが詰まっている。

なんだろう、この矛盾。


飲食は、ガーゼがあっても、右の歯を使えば問題なく、

口が開くようになってきたので、色々な物が食べられるようになってきた。

 


しかし、詰まっている感とともに、

ひょっこりはんのガーゼ端がどうにも気になる。

 


うがいをするとピロピロする。

びっくり箱のバネのように、ビヨヨヨーンと出てきてたらどうしようと、不安になる。

 


食パンを食べた時は、もう困惑だった。

これは、ガーゼなのか、溶けかけた食パンなのか、

舌触りだけでは判別がつかない!

私はどっちを喉に送り込んでいいのかわからない!

 


この頃から、

左の頬骨、こめかみが痛み出した。

耳のあたりの痛みも続いている。

何か詰まっている感がストレスで、肩も凝ってきた。

痛みで夜もよく眠れない。

 


この日から、また夫が出張で不在だったので、

再び実家に身を寄せた。

 


抜歯十三日目、十四日目。

夜によく眠れないので、昼寝をする。

すると、夜眠れない。

まったく望まないのに、昼夜逆転になってしまった。

オールなんて、クラブで調子付いて踊ったりしてた頃以来じゃなかろうか。

 


高校時代からの友人に会う約束があり、とにかく気合いで向かった。

そして、彼女に詫びた。

20年近く前、あなたが親知らずを抜いた時、

パンパンになった顔を大爆笑してしまったことを。

今ならあなたの気持ち、よくわかる。

歴史的な雪解けの瞬間だ。

 

 

 

抜歯十五日目。

痛みは時折、波がやってきては、引く。

次の診察は一週間後。

しかしこの痛みのまま過ごすのは怖い。

 


いい加減、痛みを忘れたい。

夫や親に心配かけたくない。

子供と外で、全力で遊びたい。

素焼きナッツや、牛タンを思う存分食べたい。

 


病院に電話をかけ、

翌日に診てもらえるように予約をした。

 


親不知は、英語では、

wisdom tooth

と言うそうだ。

物事の分別がつく年頃になってから生えてくる歯であることに由来する。

 


これまで、私自身のwisdomは、歯の成長に追いついてなかったのだ。

ようやく、ようやく私は、

この一見から学び、分別がついたのだ。

痛いと思ったらすぐ病院に頼る!無理しない!

それが、私と家族の幸せに繋がる!!

 


抜歯十六日目。

今回は、タンタンメン先生の診察であった。

まずは、歯茎のガーゼを取り替えるという。

 


ひょっこりガーゼが久しぶりに外された。

歯茎に穴がぽっかりあいている。不思議な感じだ。

傷口は、徐々に良くなっているという。


そしてまたガーゼを詰める。

ああ、怖い。

痛みを知ってしまうと、再体験は本当に怖いものだ。

恋愛と同じ。

 


しかし、今回は、治ってきているせいなのか、

前回よりは、痛くなかった。

 


しかも、タンタンメン先生、

ガーゼの詰め方がとても丁寧でしっかりしてらっしゃる。

前回の端っこピロピロ感がない!ひょっこりはんがいない!

これは大変重要なことなのだ!

 


頬骨、耳、頭の痛みについても聞いた。

 


抜歯の際、骨も削っていて、

筋肉は骨に繋がっているため、影響が出てしばらくは痛みが続くとのこと。

痛み止めを飲みながら、時間が経って良くなってくるのを待つしかないと言う。

 


時の流れに身を任せー…

私、待ーつーわー…

がっかり気味に、テレサテンとあみんが、私の中を流れる。

 


いつ、どうやったら、この一件は終息するんだろう。

気づいたら、夏はもう後半で、トンボが飛んでいる。

 


しかし、一度診てもらったおかげで、心が少し軽くなった。

素焼きナッツも、ゆっくりなら食べられるようになった。

 

続く。